
いつもブログをご覧いただきありがとうございます^^
Nextep labo代表のはまやんです。
昨年からお世話になっているWOW’D宮崎テクニカルディレクターで、世界のTKこと「近藤 拓人」さんのセミナーへ参加していきました。
今回は、運動と感覚の統合シリーズの末梢神経編です。
過去には、体性感覚・視覚・前庭感覚・脳・脳神経・呼吸・胸郭・骨盤帯と多数のセミナーへ参加しましたが、
どれも中身が濃すぎるセミナーで日々の臨床で使えるものばかり。
セミナーへ参加しての内容と感想を簡単にシェアしたいと思います^^
Contents(目次)
末梢神経システムの臨床活用法
まず末梢神経システムとは、
31ペアの脊髄神経、12の脳神経、自律神経、複数の神経節、感覚受容器が関わるシステム
となっており、
主に「中枢神経系と身体を機能的に連結」させています。
末梢神経は、「求心性」と「遠心性」に分かれて異なる経路をたどりますが、
脳・目・耳・鼻・口・筋・内臓・皮膚・粘膜・骨などをつないでいます。
セミナー受講前の僕の臨床は「自己組織化理論」を中心に考えていました。
無意識的・暗黙知に入力されたそれぞれの感覚情報は脳内で統合され、
統合された情報が出力変換されて脊髄前角のαモーターニューロンへと伝達されて運動出力される
という考え方です。
そのため元も優先すべきは「感覚入力」であり、
その入力情報の量・質が運動パフォーマンスへ直結すると考えた臨床です。
そのため臨床では、
- 入力される感覚情報の内容
- 伝達経路となる感覚受容器・神経線維
- 受容器・神経線維に関わる結合組織
などが評価・施術対象でした。
ただ、今回のセミナーでは、
- 求心性:ボトムアップ
- 遠心性:トップダウン
を分けて考えるというものでした。
どの感覚情報を介した神経路が活性化・抑制化されているのかを見極め、
感覚入力・運動出力を使って左右の大脳皮質・小脳、脳幹の活動バランスを整えていくのか?
入力ばかりに目が向いていましたが、出力の重要性を再認識できました^^
入力される感覚情報の種類と評価
次に末梢神経システムへ入力される感覚情報への理解が大切です。
感覚情報には、光・音・動作・触覚などがあります。
機能神経学の大切な要素として「全か無かの法則」があり、刺激量が十分であれば反応はするし、不十分であれば反応はしません。
そのため、感覚入力の処方量として「刺激量 × 刺激時間 × 刺激の種類」などが大切です。
例えば「光刺激」であれば、
- 光量(光の強さ)
- 照射時間(光を浴びる時間)
- 光の種類(色、光源の種類)
などを組み合わせた処方量があります。
そしてその処方量が適切 / 不適切かどうかを判断するために
ベースライン(アウトカム)の設定が重要です。
僕が主に設定するベースラインは、
- 主訴:痛み・しびれ・可動域
- 筋出力・筋緊張:末梢神経のキーマッスル
- 代謝系:唾液量・血色・皮膚温・酸素飽和度・発汗の質と量
- 前頭葉:舌・指のタッピング
- 小脳:指鼻テスト、運動変換テスト、ロンベルグテスト
- PMRF:指・手関節の伸筋群の緊張、特異的な姿勢パターン、同側の痛み
- 原始反射:モロー反射、ATNR、ガラント反射、把握反射、バビンスキー反射
- 腱反射
- 腹圧機能テスト:座位並進バランステスト、パワーテスト
などがあります。
これらすべてを評価すると時間的な部分やクライアントへの負担を考えると大変なので、
クライアントが自覚しやすい評価と主訴を中心に確認していきます。
その中でも原因となる部位・経路を同定するために、
各項目から一つは抜粋するように意識していきます。
主訴と関連させながら予測される原因部位を、
問診・視診・触診などを交えながらボトムアップ評価で絞っていく。
以前まではトップダウンのみで対応していましたが、今はボトムアップを重要視しています。
- どの刺激に対してベースラインが変化するのか?
- ベースラインに変化がなければ処方量の何を変更するのか?
- ベースラインの変化とともに主訴の変化もあるのか?
この辺りがアセスメントの中では大切だと思います。
痛みとしびれの考え方
国際疼痛学会では痛みの定義として、
実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表す言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である。
としています。
つまり、
- 組織損傷に伴う警告性が高い防御機構
- 知覚的な側面のみでなく、個人的な経験も関与する
- 感情面にも深く関与する
- ダメージが取り除かれても持続することがある
などの特徴があるということです。
そのため、組織損傷のみではなく個人の体験・感情が大きく関わっているため、
細かな問診・身体検査が必要となります。
僕は痛み・しびれを臨床的に考えると「入力・出力情報の統合不全」と「認知の歪み」だと考えています。
今回の末梢神経システムと普段の臨床を合わせると、
- どんな情報が入力されたのか?
- その情報はどの経路をたどっていくのか?
- どのように出力されたのか?
- どのような思考パターンを持っているのか?
- どのような人生を歩んできたのか?
こういった観点で評価をしていきます。
評価のポイントとしては、
- 大脳皮質・小脳・脳幹の活性度
- 左右の大脳皮質の活性バランス
- 結合組織の歪み・硬度・変性
- 思考パターン・性格・価値観・観念などパーソナリティ
- ライフスタイル(家族・仕事を含む)
などを全体的に紐解くことで原因を特定していきます。
おわりに
今回のセミナーを通じて自分の中の臨床がかなりつながっていきました。
職種の壁を越えて互いの知識を共有していき、
専門的な技術を持ってお互いの役割を全うする。
そういった環境・仕組み作りに全力で取り組む
近藤拓人さんをはじめ、
AZ CARE ACADEMYの皆さんにはこれからをお世話になっていくと思います。
まだセミナー受講をされていない方は、
ぜひ受講して色々と勉強してみて下さいね^^
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濱田 聖矢(はまやん)
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