機能解剖に基づく膝関節の診方 ~大腿脛骨関節のStability 編~

いつもブログをみていただき、ありがとうございます。

Nextep labo代表の濱田です。

 

今回は、「機能解剖に基づく膝関節の診方 ~大腿脛骨関節編~」をテーマにお伝えしていきます。

前回は、「機能解剖に基づく膝関節の診方 ~膝関節の学び方 編~」をお伝えさせていただきました。

まだ読まれていない方は、一度読んでから今回の内容にお進みください。

 

今回も「膝関節」についてです。

皆さんにも得意としている治療部位があるのではないでしょうか?

 変形性膝関節症の専門です!

 心臓外科分野なら負けません!

 アレルギー専門です!

理学療法士は多様な疾患を扱うため、様々な知識が必要となります。

 

以前までの僕は、○○専門です!ということに、少し嫌悪感がありました。

なんか一つの分野に染まってしまうことで、全体を捉える力が弱くなったり、可能性を狭める気がしていました。

 

しかし、「何でもできます」というのは、逆に「何にもできない」ことだと悟ってから、少し考え方に変化が出てきました。

 

僕にも得意分野があります。

 機能解剖に基づく運動器疾患への評価・治療

 内部疾患に対するリスク管理

 脊柱・骨盤帯から診る全体論

 バイオメカニクス・神経科学に基づく評価・治療

 膝関節、肩関節、脊柱、骨盤帯

 自律神経・内臓

 心理学・潜在意識

ジャンル、部位など多数の分野・疾患を得意としています。

 

しかし、それではダメだと感じています。

選択肢が多いことは武器にもなるが、迷いの数である」ことに気づいたからです。

 

そんな気付きを与えてくれた言葉です。

 

なので、僕の専門は「慢性の症状」です!

これからさらに狭めていきますが、まずは慢性の症状に向けた関わりから始めていきます。

 

その中の一つである「膝痛」について話を進めていきます。

 

膝関節ってどんな関節

膝関節の特徴についてどのくらいの情報を持っていますか?

 

【膝関節の特徴】

 関節形態:顆状・蝶番関節

 関節面:大腿骨顆 凸、脛骨顆 凹(内側)凸(外側)

 大腿骨内・外側顆で形状が違う(内側顆:小さく丸みが強い、外側顆:大きく丸みは普通)

 緩みの肢位(LPP):屈曲約25°

 締まりの肢位(CPP):完全伸展・脛骨外旋位

などがあります。

 

骨の形状、半月板、靭帯などの関節構成体によって、関節として役割を持っています。

 

膝関節の役割とは?

みなさんは、「Joint by joint Theory」をご存知ですか?

【Joint by joint Theory】

理学療法士のGray Cookが提唱している考え方。

関節には、「可動性(Mobility)」と「安定性(Stability)」という役割があり、それそれの関節に交互に主要な役割として存在する。

という風な考え方です。

 

この理論によると、膝関節は「Stability」が主要な役割となっています。

つまり、構造的に安定性を求められる必要があるということです。

 

膝関節の安定性とは?

では、どのようにして膝関節の安定聖は保たれるのでしょうか?

 

安定性には2種類の要素があります。

 

【安定性①:静的支持機構(1次制動)】

骨形態や、靭帯・半月板などの受動組織によって形成される安定性

 骨:大腿骨顆、脛骨顆

 半月板:内側、外側

 靭帯:ACL、PCL、MCL、LCL、腸脛・後斜・斜膝窩・弓状膝窩靭帯

 関節包

 

【安定性②:動的支持機構(2次制動)】

神経-筋の作用によって形成される安定性

 大腿四頭筋

 ハムストリングス

 膝窩筋

 腓腹筋

 大腿筋膜張筋

 内転筋(薄筋など)

 

これらの関係性として、「1次制動に状態に応じて、2次制動が調節される」ということです。

 

そのため、まずは1次制動について考えていきましょう!

 

大腿脛骨関節の1次制動とは?

まずは、骨形態から考えます。

 

前述したように、「大腿骨顆:凸 脛骨顆:凹(内側)凸(外側)」といった構造をしています。

つまり、関節面の適合性は決して高くありません。

 

そのため、半月板が内・外側に存在することで安定性を確保しています。

逆に言うと、半月板の構造・機能が変化することで、関節適合性は低下します。

 

【半月板への付着組織】

* 参考書籍:運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学 工藤慎太郎

 

【半月板の動きの特徴】

内側・外側ともに形状・付着が違うため、動きにも違いがあります。

 

【半月板の前方移動】

1)半月膝蓋靭帯による誘導

① 膝関節の伸展(大腿四頭筋の緊張・収縮)

② 大腿骨顆部のロールフォワード(前方への転がり)

③ 膝蓋骨の挙上(上方移動)

④ 半月膝蓋靭帯の緊張

⑤ 半月板が靭帯に牽引され、前方へ移動

 

2)膝蓋下脂肪体による誘導

① 膝関節の伸展

② 膝蓋骨挙上に伴って、膝蓋靭帯は前方へ移動

③ さらに、膝蓋下脂肪体も前方へ移動

④ 膝蓋下脂肪体に付着する膝横靭帯も前方へ移動

⑤ 膝横靭帯に前方移動によって、半月板が牽引しされ前方へ移動

 

3)斜・半月大腿靭帯による誘導

① 膝関節の伸展

② 膝関節後方にある後斜・半月大腿靭帯が緊張

③ 上記靭帯が緊張することで、半月板を前方へ押し出すされるように移動

 

 

【半月板の後方移動】

1)半膜様筋による誘導(内側半月板)

① 膝関節の屈曲

② 大腿骨顆部のロールバック(後方への転がり)

③ 膝蓋靭帯の後方移動

④ 半膜様筋の収縮

⑤ 内側半月板の後方移動

 

2)膝窩筋による誘導(外側半月板)

① 膝関節の屈曲

② 大腿骨顆部のロールバック(後方への転がり)

③ 膝蓋靭帯の後方移動

④ 膝窩筋の収縮

⑤ 外側半月板の後方移動

 

3)後斜・半月大腿靭帯による誘導

① 膝関節の屈曲

② 大腿骨顆部のロールバック(後方への転がり)

③ 膝蓋靭帯の後方移動

④ 後斜・半月大腿靭帯の緩みによる後方スぺ―スの開大

⑤ 開大した後方スペースへ半月板が後方移動

 

このような移動をスムーズに行えることで、全可動域に渡って関節適合性を高め、安定性を維持することが可能となります。

 

次に、靭帯の作用を考えていきます。

前方制動には、ACL、PCL、後斜・斜膝窩・弓状膝窩靭帯が関与し、

側方制動には、MCL、LCL・腸脛靭帯などが関与します。

 

【各靭帯の役割】

つまり、膝関節は伸展位であれば靭帯の作用によって、安定性が高くなります。

 

 

そして、ACLなどにはとても大切役割があります。

それは、伸張刺激に伴って筋の収縮を反射的に促す作用です。

 

この作用により歩行などの瞬間的な外力に対して、反射的に筋の遠心性収縮が出現し、安定性を確保することが可能となります。

 

このようにあらゆる組織が協調的に作用することで膝関節の安定性は確保されます。

 

 

大腿脛骨関節のStabilityの評価ポイント

多くの機能が存在するからならば、どのような評価をしていいのか悩んでしまいますよね?

僕が普段行っている評価の種類としては、

 靭帯へのストレステスト

 半月板へのストレステスト

 半月板の移動テスト

 膝蓋骨の可動性テスト

 脂肪体・膝蓋上嚢の柔軟性テスト

 筋力テスト(神経筋反射、収縮伝達力)

 筋の伸張テスト

これらの結果を複合的に診ていきます。

 

これらの評価はボトムアップ式に膝関節のStabilityを評価しているものになっており、

それぞれの評価を正確に行いかつ、評価結果を統合するにもアイデアが必要となります。

 

人体におけるそれそれの役割を理解することが、アイデアを生む最大の近道だと感じています。

 

皆さんもいろいろな評価を行いながら、その特徴と関係する因子を考えていただき、

より簡便で質の高い評価法を見つけてみて下さい。

 

 

まとめ

① 人体において、膝関節は安定性(Stability)に大きく関与する

② 安定性には、静的支持機構(1次制動)と動的支持機構(2次制動)があり、協調し合っている

③ それぞれに関与する組織の状態・機能性を評価することで、Stabilityレベルが判断できるようになる

 

 

おわりに

いかがでしたか?

今回は、大腿脛骨関節のStabilityについてお伝えしました。

基礎的な知識をただ学習しても、それらを統合する作業が非常に難しくなっていきます。

実際、僕の周りにも一生懸命勉強しているセラピストは多数おりますが、知識の統合と臨床応用に頭を悩ませています。

 

ただ勉強すのるのではなく、勉強した先を見据えながら行うことが大切です。

 

 自分のレベルを把握して、自分に合った方法で学んでいきたい

 臨床推論力を高めたい(評価に必要な仮説の立て方)

 仮説検証力を高めたい(仮説に基づいた評価の選択・実行)

 統合力を高めたい(評価結果の解釈)

 技術力を高めたい(触診、徒手療法など)

などのような想いがある方は、ぜひ行動をしてみてはいかがでしょうか?

 

今回の内容が、皆さんの臨床にとって、

Nextep次なる1歩を踏み出す)」

するきっかけなれば幸いです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

 

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濱田 聖矢(はまやん)

フリーランス理学療法士! 「Nextep(次なる1歩を踏み出す)」をテーマに、各地で講演を行いながら、高知での自費の整体サロンを運営中。 高知の働く人の健康を育てることを中心に、女性が働く社会の実現を模索中。

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