廃用で生じる筋力低下の病態と筋力訓練の負荷量設定について!

いつもブログをみていただき、ありがとうございます。

Nextep labo代表の濱田です。

 

今回は、「筋力と廃用」をテーマにお伝えしていきます。

 

先日、高知県で「実践形式で学ぶ 運動器の診方と術後ケア」セミナーの第2回目を開催しました。

その内容の一部を振り返りながらお伝えしていきます。

 

 

廃用とは?

廃用という言葉は、良く耳にすると思います。

一般的に、安静状態が長期に渡って続く事によって起こる、さまざまな心身の機能低下などを指します。

 

廃用って非常に便利な言葉ですが、多様な状態を含んでいるため、

臨床においては抽象度が高すぎると感じています。

 

【廃用の一例】

 拘縮   筋力低下

 循環・呼吸・認知機能低下

 ADL・QOL低下

他にも色々あります。

 

 

廃用による筋力低下とは?

筋力低下といっても、様々な要因が関与します。

 運動単位数の減少

 発火頻度の低下

 筋萎縮

神経学的な問題と、筋実質の問題などがあります。

 

特に安静臥床・固定などの不活動による筋萎縮は、「赤筋」に生じると言われています。

 

【赤筋の特徴】

 遅筋(slow twitch muscle)

 タイプⅠ(SO:slow-twitch oxidative)

 ミトコンドリアが豊富

 エネルギー代謝:酸化

 筋収縮力:弱い

 筋持久力:高い

 神経線維の太さ:細い

 動員の順番:1番目

 

このような特徴により、姿勢保持筋(抗重力筋)に多く存在しており、

日常生活を疲れなく過ごすためには非常に大切な筋線維です。

 

神経学的な問題

筋萎縮が起こる要因として、廃用(不活動)を挙げました。

廃用が起こる際に、神経学的な部分ではどのようなことが起きているのでしょうか?

 

筋力を発揮するためには、いくつかの過程があります。

① 中枢神経系からの情報伝達

② 脊髄後角にあるα運動神経から末梢神経への情報伝達

③ 末梢神経から骨格筋への情報伝達

④ 骨格筋の収縮による関節運動の出現

大まかにこのような過程で筋力は発揮されます。

 

筋の不活動とは、この神経の一連の流れを使う頻度が少なくなっているということです。

つまり、神経に廃用が生じるということです。

 

その結果、「運動単位数の減少」や「発火頻度の低下」などが起こり、「筋萎縮」へとつながっていきます。

 

 

廃用による筋力低下への介入方法

赤筋優位の筋萎縮と、神経学的な問題が混在していることはお分かりいただけたと思います。

そのため、両者を意識した介入方法が大切になります。

 

もちろん、不活動を起こしている要因を除去し、活動性を高めていくことは大前提です!

その上で、筋力訓練を中心に話を進めていきます。

 

 

介入方法①:運動頻度・負荷量

赤筋は遅筋であるため、低負荷高頻度で長く行える運動が望ましいとされています。

低負荷の運動は、サイズの原理により赤筋が優位に動員されます。

 

【サイズの原理とは?】

= 運動負荷量に応じて、サイズの小さい運動単位(赤筋)から動員され、負荷量の増大に伴ってサイズの大きい運動単位(白筋)が動員される

 

【負荷量の設定方法】

よく聞かれるのが、「1RM」を基準にするものです。

1RMは、1回のみ運動可能な最大の負荷量を表します。

 

例えば、10kgの負荷で10回反復できた場合は、1RMの75%の負荷が10kgとなるので、1RMの負荷は約13.3kgとなります。

 

 

介入方法②:収縮様式

筋の収縮様式には、等張性(求心性・遠心性)、等尺性、等速性があります。

運動単位数の増大、発火頻度の向上を目指すならば、サイズの原理を考えても高い張力を発揮する必要があります。

 

しかし、不活動による廃用が起きているような方に対して、高い張力を発揮させるような運動は難しい場合が多いです。

そのため、収縮様式を変化させることで対応していきます。

 

求心性収縮では、張力に応じて動員されるサイズが徐々に大きくなるとされています。

遠心性収縮では、低い張力でもサイズの大きい運動単位が動員されます。

 

また、等尺性収縮では以下のような特徴があります。

最大筋出力(MVC)に対する割合によって、エネルギー代謝系、自律神経系、筋内圧、血液供給が変化します。

そのため、高い出力の等尺性筋収縮を行うと、血流不全を起こしてしまい、赤筋が利用できなくなってしまいます。

 

 

そのため、運動負荷・頻度・収縮様式としては、

 運動負荷:35~45%MVC(筋に負荷をかけながら、酸素系のエネルギー代謝を利用できる)

 運動頻度:30回×~set(30回前後で疲労感を軽く感じる程度が、上記負荷量に相当する)

 収縮様式:遠心性収縮(低負荷でサイズの大きい運動単位を動員できる)

 

 

介入方法③:温熱

骨格筋内には、熱ショックタンパク質HSP:heat shock protein)と呼ばれる物質が存在します。

これは、温熱作用に対して反応することで、タンパク質の合成・修復を促進するとされており、骨格筋肥大筋萎縮の抑制・回復に関与します。

 

そのため、ホットパックなどを利用して温めることで対応していきます。

 

その際の注意点として、急性期では患部への温熱療法が炎症の増悪を招く危険性があります。

評価方法としては、温熱後に疼痛が増悪すれば、炎症性疼痛を助長したことになるので、控えるようにします。

 

 

最後に

急性期での関わり方として、「廃用症候群の予防」は多くの方が意識されていると思います。

その中で、より具体的な問題を挙げることができれば、具体的な介入計画を立てることが可能となってきます。

特に高齢者の筋力低下は加齢の影響も重なり、転倒因子にも繋がるため非常に重要な問題です。

 

きちんとした評価を行い、適切な治療手段を設けることができれば、よりADL・QOLの向上につながっていきます。

 

筋力評価の方法を工夫することで、「筋実質の問題」なのか、「神経学的な問題」なのかを判別することも可能となってきます。

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まとめ

① 廃用による筋力低下は、萎縮運動単位数の減少発火頻度の低下などが挙げられる

② 廃用性筋萎縮は赤筋優位に出現し、神経の廃用も併発している

③ 廃用性筋萎縮に対して、低負荷高頻度遠心性収縮での筋力訓練を行っていく

 

 

おわりに

いかがでしたか?

廃用性筋萎縮の病態を詳しく理解することで、より詳細な介入方法を検討することが可能となってきます。

具体的な方法に関し得ては、別の機会でお伝えしていきますが、運動負荷・頻度・収縮様式はぜひ参考にしてみて下さい!!

 

今回の内容が、皆さんの臨床にとって、

Nextep次なる1歩を踏み出す)」

となっていけば幸いです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

 

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濱田 聖矢(はまやん)

フリーランス理学療法士! 「Nextep(次なる1歩を踏み出す)」をテーマに、各地で講演を行いながら、高知での自費の整体サロンを運営中。 高知の働く人の健康を育てることを中心に、女性が働く社会の実現を模索中。

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