いつもブログをみていただき、ありがとうございます。
Nextep labo代表の濱田です。
前回は、「実践的な肩甲帯の姿勢評価と臨床推論」をテーマに、お伝えさせていただきました。
まだ、見られていない方は、ぜひ読んでみて下さい。
http://nextep-labo.net/2018/04/23/scapula-posture/
今回は、「実践的な脊柱弯曲から診る姿勢評価と推論」をテーマにお伝えしていきます。
脊柱の弯曲構造は身体の進化において非常に大切な要素です。
重力に抗するために必要な構造を有しています。
本日は、脊柱弯曲構造の成り立ち・特徴を交えながら、評価・推論をお伝えしていきます。
Contents(目次)
脊柱について
まずは、脊柱の成り立ち・特徴などについてお伝えしてきます。
脊柱弯曲の成り立ち
脊柱は成長とともに形成されていきます。
● 一次弯曲:胸椎と仙椎、尾椎の後弯(胎児期からみられる)
● 二次弯曲:頸椎前弯(定頸:生後3~4ヶ月)、腰椎前弯(歩行開始時期:生後12ヶ月)
おおよそ、8~10歳で成人と同様の弯曲が完成します。
身体における脊柱の役割
脊柱はその特異的な構造によって様々な機能を有しています。
① 「多方向」への大きな「可動性(屈曲・伸展・側屈・回旋)」
② 「弯曲」を持つ(頸椎:前弯、胸椎:後弯、腰椎:前弯)
③ 「衝撃吸収作用(反作用力の吸収)」
④ 「運動の起点」
⑤ 「脊髄の保護(脊椎構造、脳脊髄液)」
① 多方向への大きな可動性(屈曲・伸展・側屈・回旋)
脊柱は、頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎5個、尾椎3~5個の計32~34個で形成されています。
それぞれに特異的な構造の特徴を持ちながら関節が形成され、可動域を有しています。



② 弯曲を持つ
● 頸椎 = 前弯(lordosis) ⇒ 「頭部の位置」を規定
● 胸椎 = 後弯(kyphosis) ⇒ 「胸腔臓器」を収容
● 腰椎 = 前弯(lordosis) ⇒ 「腹腔臓器」を収容
そのため、弯曲の変化によって、「臓器の位置変化」や「力学的ストレス」を生じさせることがあります。
③ 衝撃吸収作用(反作用力の吸収)
身体には、重力と床反力が常に作用しています。
歩行・階段昇降などの移動動作はもちろん、筋収縮による張力も反作用力となって、
身体へ影響を与えます。
したがって、身体には反作用力を吸収するための機能があります。
● 脊柱:弯曲構造によって、「約90%」を担っている。
● 四肢:関節運動・遠心性収縮などによって、「約10%」を担っている。
脊柱の弯曲構造による衝撃吸収作用は、以下の公式で表されます。
「R(衝撃吸収作用)= N(弯曲数)2乗 + 1」

弯曲数0に対して、3つある場合は「約10倍」の衝撃吸収作用を持っていることになります。
④ 運動の起点
脊柱はもちろん、四肢の活動も脊柱を中心に行われていると考えられています。
例えば、
● 股関節屈曲:腰椎後弯・側屈 → 仙腸関節後傾
● 肩関節屈曲:胸椎伸展・側屈・回旋 → 胸郭挙上・突出
などのように、近位関節を中心に徐々に遠位へと運動が波及していきます。
つまり、脊柱の動きによって遠位関節の運動性は影響を与えられるということです。
⑤ 脊髄の保護(脊椎構造、脳脊髄液)
脊髄は、脳脊髄液と脊柱の構造によって保護されています。
そのため、脊柱アライメントの変化・変性より、脳脊髄液の流れや、脊髄へのストレスが生じることになります。
また、脊柱の運動により脊柱菅へ以下のようなストレスが生じます。
● 体幹屈曲:脊柱菅伸張
● 体幹伸展:脊柱管短縮
脊柱から診るアライメント評価
脊柱の役割、特に「弯曲の重要性」をお分かりいただいたところで、
具体的な評価方法をお伝えしていきます。
「Kendall(ケンダル)の姿勢分類」は、脊柱の弯曲レベルによって分類されています。

これらを矢状面から観察し、大まかに分けていきます。
以下は3つの姿勢についての特徴です。
Kyposisーlordsis posture(前弯-後弯型)


Swayーback posture(後弯-平坦型)


Flatーback posture(平坦型)


脊柱アライメント評価の方法①:触診
脊柱アライメント評価する際に、指標となる部位が以下のようにあります。

これらを参考にしながら配列を評価していきます。
評価方法は、棘突起を指で挟んで頭側~尾側へ向かって指を滑らせていきます。

椎体の回旋方向は、「棘突起の向き」か「横突起への押圧」で確認します。
脊柱アライメント評価の方法②:可動域
次に、側屈・回旋運動による可動域でアライメントを判断していきます。
一般的に、構造によって動きは規定されるため、
● 回旋可動域:右 > 左 ⇒ 右回旋位
● 回旋可動域:右 < 左 ⇒ 左回旋位
側屈も同様に左右の側屈可動域の差で評価をしていきます。
評価時の注意点として、胸椎での動きを確認する方法となっていますので、
腰椎運動を抑制するために、「下部肋骨」を固定して行う必要があります。
そのため、「触診」と「可動域」を照らし合わせて評価を行うことで、
より正確なアライメント評価となります。
まとめ
① 脊柱の弯曲構造は、可動域・臓器収容・衝撃吸収作用などに関与する
② 弯曲の程度によって3つの姿勢に分類され、それぞれの特異的な影響が存在する
③ 棘突起の配列によってアライメントを評価し、可動域との相関性を確認する
おわりに
いかがでしたか?
身体における脊柱の役割は非常に多彩です。
特に「弯曲」は非常に重要な構造です。
そのため、評価をする際には欠かせない部位だと感じています。
皆さんの「脊柱弯曲から診る姿勢評価と推論」にとって、
「Nextep(次なる1歩を踏み出す)」
となっていけば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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濱田 聖矢(はまやん)
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